芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

皮と毛だけ

確かに、見渡せば、歳月とともに、すべてが流れ去っていく。

昔の哲人が言った通りだ。

 

だったら、すべては砂だろうか。流砂っていうだろ。そんな馬鹿な。違う違う。水か、それとも、少なくとも水のようなものじゃないだろうか。何もかもが溶けて、肉色の液体になって、流れ去ってしまったんじゃないだろうか。

 

そうか。流れ去って、もう中身なんてなかったんだ。みんな干からびてしまったんだ。でも、あんまり悲観なんてするなよ。干からびてしまって、虚ろでいいじゃんか!

 

それじゃあ、とどのつまり、みんな行きつくところまで行ってしまったんだ。肉だけではなく、骸骨でさえ溶けて、白濁して、流れ去って、ついに皮と毛だけになってしまったんだね。

 

そうだね。よくごらんよ。君だって、人体型の皮袋にところどころ毛だけ残して。目玉もない虚ろな穴でボクをぼんやり眺めて。歯のない唇から大きな穴を開いて。