芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

亀、夜遊び、彼岸花

 今週の夜は、飲み歩くことが多かった。火曜日と水曜日は帰宅したのが午前零時を過ぎていた。そして、きのう、金曜日の夜は、けさ、三時過ぎに帰宅した。

 十一時を過ぎて、立ち上がろうとしたこともあったが、そのたび、なじみの客が来て帰りそびれてしまった。店内の細長いコの字型のソファーとそこからあふれでて壁際の椅子に腰かけている客とで賑わっていた。私は壁際の椅子に座って、何故かこの夜は心が沈んでいた。楽しそうにおしゃべりしている自分と暗い淵に沈んで絶望している自分が未明のスナックの椅子に座って同居していた。ひょっとしたら、ニンゲンなんて、いや、少なくともこの私の内部には昔から常に光と闇が同居していたのではなかったか。そうじゃなかったか。

 けさは、九時過ぎに目覚めて、家事を済ませ、土曜日恒例の亀の池の掃除を始めたのはもう十一時四十五分になっていた。いつもより庭に出るのが遅かったため、スズメたちやカラスたちが朝ごはんをせがんで騒がしく、ピーチク、カアカア、合唱するのだった。

 

*写真は、庭を散歩する亀。彼岸花が咲いている。まだつぼみでこれから開花する一輪もある。おそらくこの十日前後ですべての彼岸花はしぼみ、この世から姿を消すに違いない。やはり、きょうの未明、スナックの椅子に座って私の内部に浮かんだ光と闇は、この彼岸花にも住んでいるのではなかろうか。