芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

親水公園にて その34

 日本海側を北東に進んだため、私の住む町にはこの台風の影響はさほどなかったのではあるまいか。夜更けに目覚めて、静寂の中を、雨だれが何かをたたく連続音が枕もとまでタンタン騒いできた。しかし強い台風の特徴、風の荒々しい絶叫は聞こえなかった。

 雨音に眠りをさえられ、明るくなってしまった脳裡に浮かんでくる言葉を、ベッドを離れ、ノートに私は写していた。

 

 あなたが

 いなくなって

 八年余り

 わたしは

 愛しあって暮らすことを

 忘れてしまった

 

 別人になっていた

 

 

*台風一過、お昼前。親水中央公園の西端にある東屋。時折ここでくつろいでいる人や弁当持参の母子を見かけることもある。

 この夏の日々はどこへ行ったのだろう。風と共に去り、背後から秋が来たのだろうか。