芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

落山泰彦の「日本の民話・芦屋の伝説」を読む。

 この本は、全国の民話を興味深く、読みやすく、著者の私見も交えながら、読者を気軽に楽しませてくれる。物語が、とりわけ昔話が好きな人には、格好の読みものだろう。

 

 「日本の民話・芦屋の伝説」 落山泰彦著 編集人/伊奈忠彦 銀河書籍 2026年8月23日発行

 

 言葉で語るだけではなく、写真や絵、地図や資料なども満載されている。従って、言葉の意味を追うだけではなく、広範囲に視覚を満足させる体裁をとっている。昔話の多角的理解が読者に提供され、ひょっとしたら、ちょっと目を凝らせば、読者のご近所にもここに紹介された昔話の同類が発見できるのではないか、そんな興味を持ってしまう。

 全体は四部で構成されている。全国の民話から始まって、著者の郷里の民話、そして著者が現在住まいしている芦屋の伝説へと中心を移していく。遠い場所の民話から最も身近なところへ。

 この特異な構成が、読者の心の底に眠っていた祖父母や両親から聞いた昔話をもう一度呼び覚ましてくれるかもしれない。