芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

石になる話

 白くなっていた。これからだと思った。これから開いていくのだ。

 

 ただ恐ろしいことに、開いたままだったけれど。

 

 三年後。開かれた地平に向かって、白砂が流れていた。眺め渡したがわからなかった。眼には見えないけれど、全体、わずかに傾斜があるのだろうか。

 

 もうなんの疑問もなかった。首も胸も太ももも足も、さらさらして流れていたから。

 

 七年が過ぎた時。ところがどうだろう。いきなり固くなっていく。ご覧、これがおまえの内部だ、頭頂からそんな声が聞こえた。

 

 十一年後。

 

 固まりながら透きとおれば透きとおる程、霊が侵入し、内部にとりつき、あばれている。ぴりぴりしている。千本針の唇で吸いついている。内部は打ち砕かれ、破れ、三つの穴があいてしまった。

 

 三日前。もうこれ以上、霊に侵されないために、彼女は内部を瞑想の息で満たし、手首に二重の水晶の腕輪を巻いた。

 

 彼女は石になった。いまでも芦屋川の水底に住んでいる。