芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

偶然の一致

 2016年4月2日、きょうはボクにとって特別な日です。というのも、おととしの7月19日にワイフはすい臓ガンで亡くなりましたが、66年320日間の生涯でした。彼女はボクより年上で、きょうがワイフが生きた時間にようやくボクは到達したのです。

 偶然の一致、そういった現象はよくあることです。去年のワイフの一周忌、東京でお仕事をしているお友達のSくんから依頼され、ワイフとの出会いから死までの43年間のエッセンスを書いています。

 去年、400字詰めで70枚くらいの文章を書きましたが、もっと詳細にとの要望。一時彼女のことを書くのがとてもつらくてお断りしようかとボクは悩みました。そんな折、年末にSから電話があり、「トオル、書きたくないことは書かなくてもいい、書けることだけを書いたらいいから」

 ことしの1月1日から思い直して、29日までに彼女との追想を原稿用紙200枚余り書きました。2月にはいって、その原稿を減量して150枚くらいに。3月16日に東京からわざわざ芦屋の我が家までS君と編集のHさんが足を運んでくださり、ボクを励ましてくださいました。彼女との追想をもう一度書き直そうと思い、きょう、4月2日に約160枚くらいで改稿が終わりました。再読して問題がなければ、近日中にS君に添付ファイルでメールしようと思います。

 確かに偶然の一致だと思います。ワイフの生きた時間にボクが到達したこの日、66年320日の時間! この特別な日にボクはワイフとの出会いから死までの追想記を書き終えたのでした。