芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「リヴィエール」171号を読む

 もう三十年近く運営していて、その上、二ヶ月に一回発行している、奥付と編集ノートを読んでいて、その昔、ほんの少しだけ同人誌に関係していた私には、持続する情熱をつぶさに見て、驚きの言葉もない。

 

 「リヴィエール」171号 発行所 横田英子 2020年7月15日発行

 

 全体を読み通して感じたことは、まず、詩の前半が新型コロナに対応する心を言葉によって形にしている、つまり、この現在を大切にして詩を書く姿がステキだな、私はそう思った。中でも、とりわけ、永井ますみの詩「天然痘の猛威」は、新型コロナの現状を万葉集巻十五に照応させ、その裏側に愛する恋人を失った哀歌を流し、また、この詩人はエッセイ「奈良時代の天然痘の話」で次男が天然痘に罹患した話を織り交ぜ、詩集評「場を求めて」でかつて職業にしていた認知症の老人の患者について言葉少なに語っている。さまざまな時間の生と死の協奏曲を巧みに演奏しているな、そんな思いに駆られるのも、私の身勝手な思い込みでは決してあるまい。

 そればかりではなく、この詩誌の特集で同人山下俊子の新詩集「ほの見える影」を八名の同人有志が詩集評している。みんな、極めて丁寧に論を進めている。すばらしいなあ、素直に私は感心した。詩を中心にした三十年来の交流の一端を、私は見た。