芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

夜空には、春が。

 夜明け前の五時過ぎ。隣家の屋根の上に、金星が出ている。薄闇を、近所の親水公園まで歩く。
 思ったとおり、東の低い空、金星の下に木星が。その右側にはさそり座のアンタレス。このさそりに嚙まれて死んだオリオンは、さそりを恐れ、遁走し、西へ沈んでしまった。西の低い空にふたご座のポルックスとカストルを残して。
 春の三角形は上天高くあがっている。しし座の北側に、北斗七星が北極星を指し示す。夜空には、もう春が。
 そして、北東の空では、こと座のベガ! 所謂「おりひめ星」が新しい夏の支度をしている。