芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

海の上で

                       ―Sに

 

          不思議だった。私は「歌姫」、彼女の歌いっぷりが

          とてもステキだからついそう呼んでしまうのだが、

          なぜか、「予感」を感じている。いったいどんな

          「予感」、そうたずねられても、わからない。

          答えようがない。ただ、昨夜、その夜は彼女の

          誕生日だったが、あるレストランで向かいあって

          夕食を楽しんでいる時、こんな言葉が私の脳裏に

          流れていた。

 

 

それは藍だろうか

それともたわむれだろうか

 

いや

誰かと別れ

もうひとりの誰かを藍しはじめる

激しく

ぶつかりあって

どこまでも

逆回転しながら

海の上で

ついに

砕け散って

ひとつになってしまう