芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

闇の中で

いったいこれは何だ 最初はくちびるだとばかり思っていたが どうやらそうじゃないらしい 左手だろうか 耳か 親指か ふとももか それとも首かもしれないが…… けっして細くはない 毛じゃないのは確かだ まさか右足ではあるまい

黒が消えていた

それは画期的な技術だった 脳から闇の世界を消去するアプリ 耳たぶに接続するだけで 絶望 不安 怨恨 憎悪 苦悩 悲哀 よからぬ妄想 すべてが消滅していた 黒がない 否定するものがいない まっ白だった イイネ! 感極まって