芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

詩集「黙礼」から

おおよそ2000年前、処女マリアから生まれ、ゴルゴタの丘で十字架につけられたキリストであるイエスという男、僕は長い間、この「キリストであるイエス」につきまとわれ、あるいは悩み、あるいは笑い、あるいは困窮してきた。 来月、

イスラエル

僕がこの世に対するものの見方・考え方としてもっとも強く影響された本は「聖書」と「資本論」だと思う。また、「聖書」の読み方は滝沢克己氏から、「資本論」のそれは宇野弘蔵氏から、二十歳前後の時に多くを学んだ。 誤解を恐れずに敢

カジュラホ

2011年11月28日(月)。カジュラホの寺院群を観る。よく言及されるラクシュマナ寺院やカンダリア・マハデーヴァ寺院などの壁面に描かれた数多くのエロティックなミトゥナ(男女交合)像のレリーフ。一般論で言えば、これをヨーガ

ベナレス

ベナレスについて多くは語るまい。去年の11月27日、ただ一晩ラマダプラザホテルに泊まって通り過ぎただけだから。 確かブッダ・ガヤーで覚醒した仏陀がベナレスへ向かったように僕等もそこへ向かった。その途上、サールナートで仏陀

イスラエル

三月にイスラエルに行ってきます。 ベツレヘム、生誕教会、ガリラヤ湖、5つのパンと2匹の魚の教会、ナザレ、オリーブ山、エルサレム、ヴィアドロローサ、聖墳墓教会……それから旧約。べエル・シェバ、ロトの塩柱、クムラン、ダビデの

芭蕉俳句集

年末から正月にかけて「芭蕉俳句集」(岩波文庫1978年3月20日第11刷)を読んだ。芭蕉の発句982句及び存疑・誤伝の参考資料で構成されている。 こんな句があった。天和二年(1682年)、芭蕉39歳の作品。天和二年といえ

快傑ハリマオ8号

12月20日発行の快傑ハリマオ8号を一読した。 全体を見渡してとても賑やかな居酒屋の忘年会が目に浮かぶようだった。 特に「編集後記その他」は発行人がかつてやりとりしたさまざまなレターなどで織りあげた刺繍入りドテラ姿で、場

翻訳寸感

最近、エリオット選集第四巻(彌生書房昭和43年2月20日発行)に目を通していて、その274頁、上田和夫訳の「バートン・ノートン」でギリシアの哲学者ヘラクレイトスの引用を読んだ。 <ことば>は公共のものであるにかかわらず、

藤井章子の詩「夏祭り」

「すてむ51号」(2011年11月30日発行)の32頁から34頁まで。藤井章子の詩について。 第1行初頭「闇のはじまりに」、最終行末尾「土のそのしたにある土」。これら闇と闇の隙間に「夏祭り」は生成し、一瞬の賑わいを織りな

知井13号

「知井」は名古きよえの個人誌である。13号は平成23年10月25日発行。執筆者は名古きよえの他、山崎佐喜治の詩「ふるさと」、神田さよの詩「時の目」、名古忠行の詩「無題」、そして<心に残る詩>として相馬大の「キリハタリ ヒ

ガンジスまで

11月26日にインドに行ってきます。わずか8日間の旅ですが。 デリーからベナレスへ。数知れぬ死者が流れる河ガンジスへ。 ベナレスの陽の下に坐し 平伏して 印を結び ついに合掌に至る  

奈良

今夜で、10月も終わる。ご近所のK子さんから招待券をいただいたので、昼間、家内と二人で奈良国立博物館で催されている「第63回正倉院展」を見学に。月末の月曜日なのになんという人混み。 同じ博物館の「なら仏像館」にも立ち寄る

「芦屋芸術第4号」について

どうも評判が悪いらしい。ケバケバしい表紙からして、もっとシックにしなけりゃ……そういうご批判をいただいているらしい。 余談ではあるが、澁澤龍彦は小学生の頃、白地に黒の日の丸を書いて、担任の先生からこっぴどくおしかりを受け

インドに行ってきます

あしたから8日間だけインドにいます。いま、インドは乾季ですからホットな季節です。あとの季節はホッターかホテストです。じゃあ、さようなら 仏陀は 六年間 苦行して 苦行は虚しい 結局 苦行では悟れないと悟った つまり ダマ

高橋馨詩集「詩の途上で」の追記

大切なことを失念しました。 この詩集の発行者は以下の通りです。 発行所 港の人 神奈川県鎌倉市由比ガ浜3-11-49 発行者 里館勇治 定価(本体) 2,000円 インターネットで検索すればすぐわかります。私の解説ではほ

高橋薫の詩集「詩の途上で」(続)

承前として、だがこんな調子で続けていっていいのだろうか、深夜、ベッドに仰向けに寝転がって、黒い天井を見つめ、僕は考えた。しかし熟考するには人生は余りに短い、ならばすべてよし! 僕は自分の背中に鞭打ち、立ち上がった。 第7

高橋馨の詩集「詩の途上で」(続々)

第11番目の詩「ワンルーム」 半年間契約した閉鎖空間で、発生する事件。 5年間書き続けた日記を読むために借りたワンルームに存在するのは、机、椅子、筆記用具、日記帳、コーヒーあるいは紅茶、読書用のスタンド、冷房、トイレ、電

芦屋芸術第4号

本日、芦屋芸術第4号が出来ました。今回は表紙を変えてカラーにしました。 これからもどんどん変わってもっと遠くまでいくでしょう。 つまり例えば吉本隆明風に言えば、 とほくまでゆくんだ ぼくらの好きな人々よ(吉本隆明「涙が涸

黒犬を見たり

僕等三人はレストラン「花屋敷」で遅い昼食。それから「花の島」に架かった橋を渡り、コスモスが綺麗な「大地の虹」を通り抜けて、「海のテラス」まで。 海は曇天の下、灰色にうねっている。 先程、「大地の虹」の辺りで四人連れ、若夫

高橋馨の詩的作品集「詩への途上で」

なぜ「詩への途上で」というタイトルの作品集になったのか。この作品集は、詩13篇、エッセイ3編で構成されている。答えは第13番目の詩「長い船旅」の最終行、「この頃あの時の気力をもう一度取り戻し、自己として完璧な詩的作品を一

郷愁

K子さんからいただいた入場券で兵庫県立美術館へ。午後二時。かなり混雑している。おそらく「借りぐらしのアリエッティx種田陽平展」がお目当て。 一階の展示室1から。この美術館の新収蔵品の紹介をかねた2011年度コレクション展

WHITE

2011年9月6日(火)。午後から国立国際美術館に行く。ご近所のK子さんからいただいた森山大道写真展「ON THE ROAD」。 また、同時開催している、アメリカで活動した日本の作家たち「コレクション展」。 国吉康雄、イ

「キリっと切り絵」さん

昨夜は満月でとても明るく、人の姿も灰色に浮かんでいまして、夜の八時、愛犬ジャックを連れて散歩していたボクは、公園の西隅で突然「キリっと切り絵」さんに出会いました。 「キリっと」さんは性不詳、つまり満月のように中性ですが、

stem vol.50

いま<フクシマ>という奇妙な言葉が、棺桶を閉ざす杭の音のように反響している。それは生きんとする意志を永続して打ち砕く不気味な弔鐘であると同時に、地底から徐々に拡大してやがて山津波のように襲いくる民衆の激烈な怒声の序曲かも

沖縄

2011年5月24日(火)関西国際空港9:30発ANA1733便。那覇空港着11:35。 いまにも雨が降りそうな那覇空港からDFSギャラリア沖縄へ。三回目の沖縄だが、昔はこんな免税店などなかった。急ぎ足でお店を見て回った

引用について

松岡さんから「怪傑ハリマオ7号」を送っていただいた。最初の頁に前号と同じ作品が掲載されていてびっくりしたが(理由は本誌に書かれていたが)、引きずられるようにその日のうちに読んでしまった。 僕は松岡祥男が前号で書いた北川透

神屋信子と「面」

2011年4月22日(金)、兵庫県立美術館原田の森ギャラリーで開催された「第56回新世紀神戸展」まで足を運んだ。お目当てがあった。神屋信子の作品「面」である。この「面」は抽象と具象の二面を貼りあわせている。そして色彩は赤

系図を喪失した時代

すてむvol49号(2011年3月25日発行)の中で、藤井章子の詩「系図」を読んでみる。 おそらく彼女は、深夜、蒲団にあおむけに寝転がって、ひそかな気配に眠れない夜があるに違いない。それは後方の闇からやってきて、前方の闇

長谷川博之と「空のいろ」

僕が長谷川博之の文章を読んだのは、快傑ハリマオ6号(2011年2月20日発行)で二度目だ。一度目は同じ雑誌の第2号で「瀬沼孝彰の詩業」を読んだ。しかし僕は瀬沼孝彰の詩を読んだこともないし、ましてそれを論じた長谷川博之の視

北爆

3月14日。 船上での目覚め。朝靄にけむるハロン湾。午前9時30分頃下船し、ふたたびハノイ。 1966年2月。タイビン村虐殺事件。大韓民国陸軍が婦女子を含む住民65名を殺害。 1968年1月30日。フエ事件。南ベトナム民

ハロン湾

3月13日(日)。 ハノイから3時間余りバスに乗ってトンキン湾の北西、ハロン湾に向かって。 1964年8月2日、4日トンキン湾事件。 8月4日の事件は後日明らかになった通り、米国の捏造である。 僕の記憶に間違いがなければ

ハノイまで

3月12日(土)。 ホテルを午前8時過ぎに出て、アンコール・トムへ。 アンコールは都市国家、トムは大きいという形容詞で、アンコール・トムは大都市国家という意味。高さ約8m、周囲約12kmのラテライトの城壁で囲まれている。

シェムリアップ第二夜

3月11日(金)。 5時過ぎに起きて、アンコール・ワットの中央塔からあがる朝日を西参道から見るために。 バスの車窓からやがて薄明の中に浮かび上がる堀とその向こう側でじっとうずくまる暗く固まったジャングル。東西約1500m

シェムリアップ第一夜

011.3.10(木)。ホーチミン市11:40発ベトナム航空VN-827、シェムリアップ国際空港12:40着。 国際空港といっても、タラップを降りると、ターミナルまで100mくらいのんびり歩いていく。 シェムリアップは人

サイゴン

2011.3.8(火)。 関西国際空港10:30発ベトナム航空VN-941。 ホーチミン市・タンソンニャット国際空港現地時間14:20着。 ホーチミン市は人口約800万人の都市。タイのバンコクでもそうだが、ホーチミン市に

芦屋芸術第三号

芦屋芸術第三号を発行しました。 今回は東京から遊佐敬憲さんに参加していただきました。 二篇の詩「世界」と「終了そして今」が発表されています。 ご期待ください。

佐東利穂子「SHE」

これまでダンスを観るために劇場まで足を運んだことなどなかった。楽器よりも声楽、声楽よりも舞踊はより人間の肉体や生理へ接近するため、僕の脳の中はどろどろになるのだった。 しかし僕は、2010年12月11日、「平山素子 スト

快傑ハリマオ

創刊号が2009年7月15日を希望となっていて、第5号が2010年11月1日になっているから、一年半足らずで5冊発行されている。発行人は根石吉久。定価「一財産」。中味は濃い。今夜はジンをストレートで何杯もあおってみるか、

藤井章子の詩「都市」

不思議な味がする詩である。「すてむvol.48」十六頁から(2010年11月25日刊)。まず第一連、第二連で都市の特異な暗喩が出てくる。 第一連の都市の暗喩。それは軟白されたアスパラガス。第二連の都市の暗喩。それは切り倒

ザ・コレクション・ヴィンタートゥール

2010.12.10(金)。今回もご近所のK子さんから入場券をいただき、家内の運転で兵庫県立美術館に来た。 全展示作品を8区分して、第1章フランス近代Ⅰ:ドラクロワから印象派まで(14作家13作品)、第2章フランス近代Ⅱ

「詩誌らⅡ」から(2010.12.10発行)

明治に発生した詩は青春文学だと思っていたが、どうやら平成も深まり、老人も含めたあらゆる年代層の表現世界に成熟してきたと思う。 四人家族だった昔と違って、今は一人暮らしになった由布州子の編集後記から。「深い徒労感と、それで

西安

ほんとうはマレーシアに行くつもりで旅行社に予約していた。しかし今夏の酷暑で八月の末になって「西安」に変更した。 9月7日 尖閣諸島沖で中国漁船衝突事件が発生。 9月20日 日本のゼネコン「フジタ」の社員四人が中国で身柄を

マン・レイ展

11月2日、国際国立美術館、マン・レイ展。僕にとって彼の展覧会は二回目である。1985年3月頃に詩人の中江俊夫と滋賀まで足を運んだ。余談になるが、滋賀といえば、その二年前にも中江俊夫とアンリ・ミショー展に大津の西部ホール

水木しげる妖怪図鑑

ご近所のK子さんから入場券をいただいて、10月3日までの開催日だったので、9月30日に兵庫県立美術館まで足を運んだ。足を運んだ、といっても車で行ったのだし、僕は運転ができないので家内が運転して。 水木ファンにはとてもうれ

恐山

2010年9月14日<>朝、薬研温泉の旅館を出て、恐山へ。 「人は死ねばお山さ行ぐ」 三途川(正津川)を渡ると広い駐車場があり、その背後に恐山菩提寺。正門に向かって左側からその後方にかけて火山岩に覆われた「地

仏ヶ浦、2010年9月13日

蟹田港からむつ湾フェリーで脇野沢港へ。そこからバスで佐井港まで走り、観光船で仏ヶ浦まで。 パンフレットによれば、大正11年にこの地を旅した大町桂月は、「神のわざ鬼の手づくり仏宇陀(仏ヶ浦)人の世ならぬ処なりけり」と詠った

芦屋芸術第二号を発行しました

10月1日、芦屋芸術第二号を発行しました。今年の4月1日に創刊号を発行してとりあえず予定通り年2回出版できました。これも執筆者各位のご協力と編集者荒井麻美の無償の助力の賜物です。この場を借りましてありがとうと言っておきま

津軽

2010年9月12日午前11時。青森空港からバスで金木へ。太宰治記念館「斜陽館」に立ち寄る。周知の通り「斜陽館」は以前旅館であって、40年くらい昔に僕は宿泊したことがある。その頃と違って斜陽館の前に金木観光物産館「マディ

束芋「断面の世代」

010/09/10(金)、国立国際美術館。 9月になって知人のK子さんから入場券をもらったので、9月12日までの展覧会でもあり、ギリギリになって会場に足を運んだ。 入場するなり、真っ暗で、何も見えない、ただ、天井に映像が

木村ミチの詩

僕は木村ミチに以前、といってもかなり昔の話だが、会った記憶がある。大阪のどこかの喫茶店。あいまいな残像が脳裡に浮かんでいる。 さて、「夏の日のあいまいないちにち」(サルトビ24、2007年8月20日発行)を読んでみる。