芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「芦屋芸術十六号」が出来ました!

 きょう、「芦屋芸術十六号」が出来上がりました。発行日は三月一日ですが、かなり早く仕上がりました。  芦屋芸術十号から十五号までは私一人で執筆していましたが、今号は二人の作家に作品を書いていただきました。また、絵も従来の

何かいる

大きな紙袋を見つけた 薄茶色で分厚い紙で出来ている 家の中で見つけたと思うのだが なんだかボンヤリしてしまって どこにあったかわからない 両手で持ち上げると 袋の口は閉ざされている ノリでビッシリ張り付けられているのか

なにをおしゃべるするために

なにをおしゃべりするために 亡妻はやって来たのだろう 雪の降り積もった 運動場を 六十数年前の バラックに近いボクの小学校の校舎 だがもう何かの展示場か事務所に変わっていたが その建物に向かって 車を飛ばした 久しぶりに

東には、待宵の月。

              KMに   西の方には 六甲山の上に 小さなラグビーボール状の紅い雲が 二つ三つ浮かんでいる あとは 風もない 雲もない 夕暮れ 東には 親水公園の 木立に浮かぶ 二月の待宵の月 &

芦屋、親水公園のお花畑にて。

 近所の親水中央公園東端にある花壇で、毎月第一日曜日の午前十時から十二時ごろまで、「南芦屋浜はなとまちプロジェクト」が活動をしている。簡単に言えば、お花畑を作る会、である。私はこの会に参加して、余程のことがない限り、月一

椅子とコタツ

わたしは この椅子に座って 毎日 詩を書いている もう一年余りで 七十歳も半ばがやって来るというのに 認知症になって施設に入所するまで この椅子に座って 詩を書き続けている そして あなたは 冬の間 ずっとコタツに足を突

伊藤芦屋市長と、ドッグラン設置会の代表が面談しました!

 私が所属している市民運動、芦屋のドッグラン設置会が1月11日午後1時半から芦屋市役所で市長と面談しました。参加者はドッグラン設置会の代表六人と紹介・立会人の芦屋市会議員長谷基弘氏。芦屋市にドッグランを設置する反対派もい

「えっちゃんの夏」を出版します!

 ここ数か月以内に、「えっちゃんの夏」を出版します。  この作品を完成させるのにもう九年近くかかってしまいました。私の妻「えっちゃん」が亡くなった直後に、つまり彼女は九年前の七月十九日に死去し、その後すぐ、八月十五日に私

清 位裕美が詩を書き始めた!

 この一月はとてもせわしなく過ぎた。今年の一月は今日、三十一日火曜日でやっと幕を降ろす。  やることが多くて、ほとんど限界値を生きていた。振り返ってみれば、確かにそうだった。  概略を書きつらねても、平日は毎日午前中、事

クープリンの「魔窟」を読む。

 そもそもの発端は、トロツキーの「文学と革命」だった。この本を読んで私は一九〇五年のロシア革命の挫折の前後、十九世紀末から一九二〇年代までのロシア文学に興味を持った。あれこれ作品を読み漁った。このたび読んだ作品もその流れ

中継点から

 今頃になってこんな話になってしまった。だったらこの先どうなってしまうのか。私の頭は混乱して荒野をさまよっている。  確かに誰にも中継点があるのはわかっていた。その中継点で様々な会話が交わされている。言うまでもないが、他

初雪

 初雪が来た。庭の水道栓が凍結していた。私の住んでいる町では珍しい出来事だった。  昨夜、友人四人と連れ立って、阪神芦屋駅近くの宿六という居酒屋で七時ごろから飲み始めた。十時過ぎ、雪の降り止んだ帰路は凍結していた。タクシ

夜のライオン

 きのう、不思議な話だが、八年余り前に死んでいるワイフといっしょに散歩した。いつのまにか二人は近所の動物園、阪神パークの檻の中へ入っている。ちょうど真ん中あたりで、オスのライオンがぐったりして伏せていた。傍らの床の上には

椅子を抱いて眠る女

             KMに捧げる   あなたは椅子を抱きしめています 椅子を抱きしめて眠っています わたくしの壊れてしまった椅子を バラバラに砕けてしまった椅子の夢を あなたは やさしく たいせつに 両手

「芦屋芸術十六号」の編集・校正が終わりました!

 この三日間、午前二時ごろ起きて、「芦屋芸術十六号」の編集・校正を終了しました。ワードで打ち込んだ原稿をPDFに変換して、校正刷りもしました。ちょうど190ページの雑誌になりました。内容は以下の通りです。  

詩誌「リヴィエール」186号を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。    「リヴィエール」186号 発行所 正岡洋夫 2023年1月15日発行    この詩誌は、十三人の作家で表紙裏の詩を含めて十六篇の詩、五篇のエッセイで構成

ゴンチャロフの「オブローモフ」を読む。

 この長編小説を読んでみよう、そう思ったのは、以前ローザルクセンブルクの所謂「ロシア文学論」(ローザルクセンブルク選集第四巻189頁以下参照)にこの著作が言及されていたからだった。何事もその裏付けを取っておく、私のそんな

そう思うようになってきた

死んでから あなたに 愛しているこの気持ちを 伝えることは出来ない   だから この歳になって ちょっと恥ずかしいけれど ひょっとして好きになったら 生きてるあいだに 思い切って あなたを愛しています なんて

芦屋芸術の新しい友と出会った。

 きのう、一月十三日金曜日午後三時ごろ、以前から一度お会いしましょうと約束していたAさんと阪神芦屋駅前の喫茶店西村でコーヒーを飲みながらおしゃべりをした。  Aさんは芦屋芸術に好意的な人で、自分でも何か書いている、そんな

彼の遺書、あるいは最後のラブレター

             金槌さえあれば、私の人生なんて粉砕することもたやすい。    君のてのひらは 五月のお花畑のように  花のつぼみを芽ぐもうとしています  君の顔は 九月の宝石箱のように  そのまつげは

東川絹子の「三池の捨て子」

 この本は既に廃坑となっている三池炭鉱のある一時期を回想した、そう言った回想録だ、そういう風に読める本だろう。確かに三井三池炭鉱は一九九七年三月三十日に閉山されているのは周知のとおりである。また、この本は日本の特異な場所

四つの断章から

 第一章から 遺書   洟をかむと 花紙の真ん中に 鼻が残されていた        第二章から 境   狐の嫁入りの 境を行けば 右半身は 雨に濡れ 左半身は 乾いている

望遠鏡の恋

 この二年間というもの、何ものかに見つめられている、得体も知れない何ものかに……そんな苛立たしい妄想に悩まされて、わたくしは憔悴した日々を送っていた。殊に深夜から未明にかけて巨大な眼球にじっと凝視され観察されている不安に

正月は終わった

正月は終わった 酔っぱらって 倒れた 目は目を見つめ 唇は唇を訪ね たがいの手のひらを探して 足は足を追う そんな束の間だった ここに正夢は消えた これからは 歳末まで 悪夢に悪夢を 月日に刻んで いよいよ深くするのであ

おめでとう!

一月一日元旦。午前三時ごろ起床。今年どうしても出版したい作品「えっちゃんの夏」を推敲。午前七時前、我が家を出発。芦屋マリーナへ。おおよそ七分前後、速足で到着。新年の日の出をスマホで撮りました。キレイだった!おめでとう!

「芦屋芸術十六号」を出版します!

 「芦屋芸術十六号」を出版します。  「芦屋芸術」はこの三年間、十号から十五号まで、私一人で執筆してきました。私なりの思いがありました。ある程度、その思いは達せられたのではないか。これからは少し考え方を変え、私が好きな人

空色の箱馬車

大空は苺色に色づいてきたではありませんか もうすぐ夜ですねえ あなたとわたくしは てのひらとてのひらをくくりあわせて この空色の箱馬車の黄色い手綱を握りしめ くるくる くるくる 鞭打って お月様のかかった森の向こうへ 妹

指は白く

恋情よ 恋情よ つのりくるおまえのゆくてを ふみこえて 指は白く 足は白く こころは白く 白くみがかれて いかなる吹雪のめぶこうとも わたくしはあなたのベエゼに近づく    ♠ ♥ ♠   ひとたびも

恋心

もうすぐそこまで来てるくせに もうすぐやって来そうでやってこない 窓かけの後ろにためらっている 美しい福音のように誤解されがちな恋文を伝えてくるあなた わたしは ひねもす あなたの門の前を行ったり来たり行ったり来たりして

悲鳴

正午から深夜は生成しないように闇の中から真実の呼び声を聴くのは幻視に過ぎない そっと白紙の上の暗黒を消しゴムで消そう ≪思惟は悲しい すべては遊戯である≫ 訪問者は扉を開けて虚無の写実画を見上げた 眼底には静謐な夜が流れ

あの夏の夜から

 いまいましいことです! それはいたし方なかった、そんな逃げ口上なんてトテモ許すわけにはいきません。どうです? 仕方なかったなんて、そこがいまいましい! 必然的? 必ずこうなってしまいます! なんだいそりゃ。そう言って許

「ア・テンポ」第62号を読む。

 偶然出会った牧田榮子さんからいただいた文芸誌を読んだ。    「ア・テンポ」第62号 発行所 「ア・テンポ」の会/発行人 玉井洋子/編集人 牧田榮子・内田正美 2022年11月30日発行    構成

「ア・テンポ」第61号を読む。

 牧田榮子さんからこんな文芸誌をいただいた。    「ア・テンポ」第61号 発行所 「ア・テンポ」の会/発行人 玉井洋子/編集人 牧田榮子・内田正美 2022年6月10日発行    この文芸誌は、俳句

空きカン

公園を歩いていた。 見覚えはなかった。 より正確に言えば、公園に違いないと思いながら歩いていた。 あたりは灰一色だった。 片隅にビールの空きカンがひとつ、転がっていた。 私はそれを拾いあげた。 数歩先にも転がっていた。

後藤光治の詩集「記憶の杜」を読む。

 現在から過去に向かって、過去といってもそれは半世紀前後かけ離れてしまった場所ではあるが、少年や少女たちが住んでいたその場所をライトで照明して、現在のスクリーンに映像する。そしてその多様性に満ち、余りにも豊かだった世界の

花屋

花屋を 出たり 入ったり していた 花を買ってみたが 茎から先はボンヤリ濁って 花ではなく 煙が漂っていた もうなにがなんだかわからなくなって 途方に暮れ 何故か 頂が雲に隠れた六甲山を思い出していた その花束を握りしめ

後藤光治個人詩誌「アビラ」12号を読む。

 個人詩誌を毎号新しい味付けを加えながら緻密に作り上げていくのは至難の業である。同人誌の場合、基本的には、各人の書き手にゆだねたその作品群をいかに束ねて編集するかが編集者の肩にかかって来るのだろう。だが、言うまでもなく個

詩誌「現代詩神戸」279号を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。    「現代詩神戸」279号 編集 永井ますみ・今猿人 2022年12月10日発行    二十人の書き手で三十一篇の詩、二篇の追悼文、それから連載小説で組まれ

寄稿文芸誌「KAIGA」No.121を読む。

 原口健次さんから詩誌が送られてきた。    寄稿文芸誌「KAIGA」No.121 編集発行人 原口健次/発行所グループ絵画 2022年11月30日発行    この詩誌は四人の書き手が十一篇の作品を発

「千葉県詩集」第55集を読む。

 藤井章子さんからこんな詩集が送られてきた。    「千葉県詩集」第55集 発行人 秋元炯/発行所 千葉県詩人クラブ 2022年11月6日発行    この詩集は109人の参加者がそれぞれ二頁を割り当て

激しい思索の果てに

脳の中で たいそうな綱引きが始まっている 紅組は右の脳 白組は左の脳にジッとたたずまいして かたずをのんで待っている ズドン! 脳天からピストルで号令一下 懸命に神経を自分の方へグイグイ引っ張りだした だがいつまでたって

ソーセージ

少年の時に見学した工場に いま わたくしは立っている おとうさんに手を引かれて ここで毎日仕事してるんだよ 初めて見学したソーセージ工場 わたくしはまた仕事の都合でここに来た あの時の建物の面影は 破片すら残されていない

彼は

彼は 一礼して ふところから蛇を出した みんな 手を打って笑ってくれた    ⁇   だが 彼は いきなり 衣装を脱ぎ捨てた 無数の剃刀で作られたベッドの上で 両手に手錠をかけて 裸形を血で飾り あお

詩誌「カルバート」創刊号を読む。

 山中従子さんから詩誌が送られてきた。    「カルバート」創刊号 発行・編集 樋口武二 2022年12月8日発行    この詩誌は十二名の作家によって、詩作品を中心に評論やエッセイなどで構成されてい

通夜

誰が言うともなく アア 貧しいからだ 貧しいから人並みの葬式さえやってやれないのだ 蜜柑箱を囲んだ 五六人の車座から シンミリつぶやく声が漏れている その額縁は まだ子供たちが生まれていなかった頃 妻と北陸地方へ旅行した

きょうから、亀さん、冬眠します!

 このところ寒くなって、彼等はご飯も食べなくなりました。池の中でじっとしています。  けさ、九時前、池から出して甲羅を洗ってやりました。しばらく庭で遊びました。  三十三歳のお年寄り亀は、まったく動こうとはしません。でも

ひとりごと

海を見ながら 芦屋浜を歩いていると 六甲山の 夕陽の中から 死別した妻の声が語りかけてくる こちらで生きているものはすべて死体です でも たまには 棺桶からフラフラ 立ち上がって そちらで散歩もします こちらも そちらも

思い出

あの森は とても淋しかったから できるだけ早く帰りたかった だから 毛虫のようなものをいっぱい踏んでしまった 足の裏は 緑色の汁で ねちゃねちゃした 浴室で 何度も足を洗った ボクにはそんな思い出もある

詩誌「リヴィエール」185号を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。    「リヴィエール」185号 発行所 正岡洋夫 2022年11月15日発行    この詩誌は、十四人の作家の詩作品十六篇、そして六篇のエッセイで構成されてい