芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

ちょっとした恥辱を残して

 けさ告訴された。

 罪状は敵前逃亡。

 二日間の審議。その七日後、死刑。

 私の中にそんなストーリーが流れていた。

 

 間違いない。確かにあの日、火だるまだった。生き残ったのは私一人。秩序を維持するために戦った勇敢な人々は燃え尽き、灰になってしまった。しかし、私は人一倍弱虫だった。臆病だった。背中を向けて、安全地帯へ疾駆した。

 けれど、振り返ってみれば、ひょっとしたら、強虫で火だるまになった方がよかったのかもしれない。だって、結局、みんな死んでいくんだから。

 

 だったら、秩序を維持するために勇者として戦場に倒れ後世に名を残しほめたたえられる方が、敵前逃亡罪で大衆の面前で首を落とし後世に恥辱を残すよりも。どう? ヤッパ―、 強虫の方がいいじゃんか。