芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

幸せだったと言いたかっただけ

夜が迫っている

ずっと

そんな危機感を持って 生きてきた

でも

あれからずいぶん時が過ぎてしまった

なのに

いつまでたっても

夜にはならない

迫って来る

予感だけがして

 

わかるかい

これがもう数年後 八十歳を迎える私の感慨だよ

毎日 迫っていると思い続けていたんだ

だが それは夜じゃなかった

だって

目覚めたら

夜明けだった

だったら

迫ってるのは 夜明けなんだろうか

まさか

いや

そうかもしれないが

 

最後に一言 君にお伝えしたいことがある

何だと思う

四十三年間

あの女と愛しあって

幸せだった