昨夜は、芦屋のいつものスナックで会った顔なじみと二人で八時過ぎだったか、タクシーで走り、西宮のスナックを二軒回った。
最後に座ったカウンター席に長居してしまった。酔いどれのクダラン話をくどくど語り合いながら。
もちろん、男と女の話。連れの男は八十を超えても女好きのまま。八年前に妻を亡くしていた。その淋しさを背負って生きるよりも、残された人生を楽しみたい、そんな思いが強いのだろう。さまざまな女遍歴、冒険譚に花が咲き乱れた。
――ヤマシタさんは、女付合いが下手糞だね。
彼の結論は、こうだった。
ヤマシタさんは、手練手管を知らない、積極性に欠けている男。
確かに彼の言う通りだった。私は受け身の男。事実、ある女性から、M、と言われた。ややこしくなりそうな気配がしたら、すぐに姿を隠す。果たして先祖は忍者だったのか。
彼の話を耳にして、タバコをふかし、ウイスキーの水割りを唇に傾けながら、思いに沈んでいた。そうだ。私は同性愛じゃないから、すべての女性は基本的には好きだ。だからといって、ただ好きだけで男女関係を求めない。私にとって愛しあうことは別次元の話だった。これまで愛しあった女性は一人、十二年前に亡くなったえっちゃんという女だけだった。彼女が亡くなってから、さまざまな女性と出会ったが、女の心はわからなかった。当たり前の話だが、私は預言者ではないので、これから先は見えないけれど。
お酒に浸かった頭で馬鹿げたどうでもいい物思いに耽っていたが、帰宅したのは午前一時半ごろ。
こうして、土曜日の我が家の行事、亀の池の掃除を始めたのはもう十一時に近付いていた。
きょうのお掃除の特記事項を一つだけ。
もう蚊が出始めているので、池の掃除の間、左右の足元で蚊取り線香を炊いていたが、残念無念、左腕に二カ所、彼等に我輩の血を捧げてしまった。
*写真は、ボクを見上げる亀。私のことをいったい何だと思っているのだろう。
待てよ。亀の気持ちもわからないボクが、まして女心など見えるわけがないのだ。