芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

きょうは十三回忌だね

きょう ボクの家からえっちゃんは転居した

 

極楽に住む えっちゃんになった

 

いや それとも 地獄に住む⁈

 

 

待て ちょっと違う

 

あの世の極楽は えっちゃん

 

この世の地獄は おまえ 

 

 

世の中は

わからないことだらけ そうじゃないだろうか

少なくとも ボクには わからないこと いっぱい

 

でも

えっちゃんと

ボクは

愛しあったまま あの夏の未明に別れた

これだけは 確実だった

 

 

*写真は、二〇二六年七月十九日、日曜日朝九時前の芦屋浜。やはり、愛犬ジャックと三人でよく歩いたこの浜辺に引きつけられて、やって来た。

何故だろう。彼女の去った十二年前のあの夏の日は、暑くはなかった。暑い思い出はなかった。いや、暑さを感じることさえ出来なかったのだろう。それほどまでに、彼女の一か月余りの死の時間に打ち砕かれていた。

死後一か月足らずで、「ふたりだけの時間」という作品を書き上げた、私にとっていまでも最も大切な作品を。おそらくこれからも、そうだろう。あなたの骨を前にして、狂ったままペンを走らせ、八月十五日に書き終えたあの作品。