芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

 特段これといった関係があったわけではない。ちょっとだけ顔見知り、その程度の間柄だった。  十年前に妻を喪ってから、いつの間にか行きつけになってしまった居酒屋でその夜も一人で飲んでいると、彼女が来た。扉口に立った彼女の眼