芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

黒いフスマ

 ボクと妻は南側にある兄夫婦の部屋を出て、隣に移り、フスマを閉めた。振り返ると、ボクラの部屋を挟んで、北側の部屋の畳にバケツが置いてある。そして、左の柱の陰から、前傾した父の首から上だけがヌッと突き出し、床を見つめている