芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

竹西寛子の「管絃祭」

 きめこまやかな文章を書く人だなあ、本を閉じて、まず、そんな溜息をついた。  見渡せば、原爆投下された広島の八月六日を境にして、時をさかのぼり、あるいは、現在に向かって流れる時空に、さまざまな生者と死者が入り乱れながら、