芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

唇を飲む男

スライスしたリンゴの

芯の部分に

唇の形をした穴が開いている

こんな簡単なことさえ

今まで 気づかなかった

今夜 初めて知った

知った以上

夜明けまで

リンゴをスライスし続けて

今まで出会ったいろんな人の唇を

探し求めた

あった 発見する喜びと快感

その夜以来

毎晩

探し求めた

これをコレクションにしよう 唇コレクション

激しい妄想が燃え上がった

だが である

スライスしたリンゴに開いた

彼女たちの唇を これだ 見つけ出した瞬間

リンゴはグジュッと溶けて

汁になった

だから

TONは毎朝 リンゴジュースを飲んでいる