芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

夜の片隅から聴こえてくる

S美 ダメだ。今夜も酔っ払っちゃった。

 

M郎 だったらもっと酔いな。

 

S美 酔っ払って、鼻糞食べちゃった。どう。あんたにあげる。

 

M郎 やけに大きい奴だな。

 

S美 ひょっとしたら、馬糞かもね。

 

M郎 勘弁してよ。オレ、そろそろ引き上げる。

 

S美 逃げちゃイヤ。これあげるから。どうぞ。このストローでウイスキーを瓶から吸い飲みして。ギュギュッ、と。やりな。時間、計っとく。

 

M郎 …………

 

S美 嘘よ、嘘。勘弁してあげる。

ごらん。あたしの目の前でアナゴがいっぱい泳いでるの。だって朝の十時ごろから飲んでるもの。でも、まだ夜の八時。付き合って。深夜まで飲むけど。ふたりで朝帰り。ホラ、見て。お財布の中、もう千円ポッキリ。後はみんなあなたにおまかせする。帰りのタクシーも。

 

M郎 十時までお付き合いするよ。そのあとタクシーで送って帰るから。

 

S美 お願い。深夜まで付き合いすると言って。嘘でもいいから。

あたしって、これ見て。この右の耳たぶ。こちらも。左のプヨプヨも。深酒しても耐えれる体づくり。そうよ、だから二つの耳を刺激してるの。これ、耳つぼジュエリーってゆうの。耳ツボを飾る宝石。もっと、よく見て。ほらね。

さわっていいよ。ちょっとよ。ほんのちょっとにしてね。痛いから、強くしちゃいやよ。少しだけならつまんでも許してあげるけど。