芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

友達は、蛇。

 これだけは間違いない話だ。

 枕もとに竹で編んだ直径1メートルくらいの大きなザルがあって、その中で暗黒色の大蛇がとぐろを巻いている。

 横たわった私と目と目が合うと、彼は笑いながら這いずり出して、ズルズル私の内部へ侵入してくる。

 

 はたして私の体のどこから彼は侵入してくるのだろうか。どこにそんな大きな穴が開いているのだろうか。こんな大蛇を収容するくらいの空間が私の体の内部に存在しているのだろうか。

 

 けれど、確かに、尻尾の先さえ見えないくらいにすっかり彼の体はザルの中から消えている。全部入ってしまった。でも、ちっとも痛くはない。吐き気もしない。ただ、こんな夜更けに、ひとりぼっちで、目覚め、絶望しているだけだ。だって、大蛇が私の体の中を寝室にしてぐっすり寝込んでいるんだもの。

 

 さらに絶望的な話になって、こんな夜更け、私の声にじっと耳を傾けているあなたには恐縮してしまうが、最後まで聴いてくれ。こうなんだ。

 私の体の穴から頭を出した蛇が見ず知らずの男の顔に変わっていた。白髪交じりであちらこちらシワだらけの首から上を穴から突き出して頬をなぜかピクピク震わせている。これが蛇の晩年の姿だった。かれこれ十年余りの歳月、私の体の内部を寝室にしてきたのだが。

 やがてパソコン状のスクリーンの上で音声は出ていないが、彼の顔は青い死体に近づいて鼻息もしていないのに、ふにゃふにゃ、ぴちゃぴちゃ、午前二時になっても、細長い赤黒い舌だけがうごめき続けていた。