芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

意味不明でもいいじゃないか

チーズと思ってかじったら

消しゴムだった

おいしかったね

そうつぶやいて

かじられた消しゴムを

筆箱にしまった

 

ロンドンで

ドローンしていた

どうかしましましたか

三十前後の青年が真顔でたずねてきた

アアおいしかった そう答えた

笑顔で別れた

 

いいじゃないか

意味不明でも

とどのつまり みんな意味不明で死んでいくのだから

好きな女の子の前で

トンボ返りをしても

わかんない と言われた

 

たしかに意味不明だったけれど

スバラシイ人生だった

闇の中を

虫がいっぱい跳びはねている

意味もなく

跳びはねている