芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

恵方巻

 二月三日、友人から恵方巻をいただいた。翌朝、切って食べるのは面倒だからそのまま丸かじりしてしまった。おいしかった。

 ところで、恵方巻って何だろう。知らなかった。ネットで調べてみると、節分の時に食べる魔除けご飯のようなものだった。偶然だったが、丸かじりするのが本来の食べ方だった。また私は、二月三日が節分だ、そんな意識はまるでなかった。だから当然のこととして、二月四日が立春だということも。

 確かにその昔、子供たちが小学生だったころまで、我が家でも豆まきをして遊んだ。豆を拾って歳の数だけ食べたこともある。その後、すべては忘却の淵に沈んでしまった。十年前に亡くなったワイフも、季節の行事はやらない方だった。私はそれ以上に関心がなかった。俳句や短歌の本を余り読まないのも、その辺りが原因しているのかもしれない。俳句も、無季の作品ならそれなりに読んではいるが。

 だから私は作品を書く場合、季節の感覚やその行事を中心にすえていない。関心がないのだろう。もともと資本主義社会は商品生産が基本であって、極論すれば、過去の不純物を排除し切り捨てる方向にあるのだろう。チョンマゲもなくなった。しかし正月やバレンタインやクリスマスなど、商品販売に利用できるものは積極的に残してはいくのだが。こんな風に言ってしまったら、味もそっけもない、オシマイだ、そう批判されそうなんだけれど。

 それはとにかく、恵方巻に無知であったため、多少世間の出来事をお勉強させていただいた次第だった。

 

*写真は、降り続いていた小雨があがった、きょうのお昼ごろ。芦屋市総合公園の事務所に近い花壇。二月早々でもこれだけの花が咲いていた。