芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「えっちゃんの夏」を出版します!

 ここ数か月以内に、「えっちゃんの夏」を出版します。

 この作品を完成させるのにもう九年近くかかってしまいました。私の妻「えっちゃん」が亡くなった直後に、つまり彼女は九年前の七月十九日に死去し、その後すぐ、八月十五日に私は「二人だけの時間」という作品を書きあげ、九月二日に芦屋芸術から別冊として出版しました。2014年のことです。

 この作品を核にして、彼女の生前、死後、その時間の中枢を書き始めました。膨大な量の原稿を反古にしてしまいました。三年前から、やっと芦屋芸術に四号にわたって「えっちゃん」の作品を連載しました。以下の通りです。

 

 「えっちゃん幻想」(芦屋芸術十号所載、2020年7月19日発行)

 「えっちゃん祭」(芦屋芸術十一号所載、2020年10月25日発行)

 「えっちゃんの夏」(芦屋芸術十二号所載、2021年3月1日発行)

 「えっちゃんへの手紙」(芦屋芸術十三号所載、2021年4月19日発行)

 

 今回、この四作をまとめて、改稿しました。まだ細部を修正するため時間が必要です。しかし、完成の目途はついた、そう思います。

 おそらく私の生きている時間の中で、最も大切な作品になるに違いありません。わずか二、三百枚の作品を書くのに九年に近い時間をかけるなんて、気違い沙汰だ、そう言われても仕方ありません。ただ、私は原稿用紙二百枚余りの恋愛詩を書いた、長編の愛とその死の散文詩を完成した、そんな気持ちで走って来ました。四十三年間ともに暮らした「えっちゃん」に心からの感謝をささげるために。