芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

花屋

花屋を

出たり

入ったり

していた

花を買ってみたが

茎から先はボンヤリ濁って

花ではなく 煙が漂っていた

もうなにがなんだかわからなくなって

途方に暮れ

何故か

頂が雲に隠れた六甲山を思い出していた

その花束を握りしめ

花屋を出ると

いきなり深い暗闇が来て

すべてが途絶え 消えしまった

だが

既に辺りは暗くなく

明るい乳白色の通りから

あの花屋に入って また 

つぶやいてみた

 

「花をください」