芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

親水公園にて その42

生死は表裏一体だった

別れたままで

生きることだった

 

数日前

あの女と出会った

何も言えなかった

 

黙って立っていた

崩れていくのが

わかった

 

 

*きょうは事務所を早く出たので、お昼前に芦屋浜に出た。薄曇りの空の下、秋の海があった。八年余り前まで、この浜で亡妻、亡犬ジャックとよく遊んだ。

 しばらく海を見つめていた。この世でめぐり逢った生命の背後にはいつも死が立っていた。愛も別離と表裏一体だった。