芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カアカアだけじゃなかった、スズメまで来た!

 カアカアは決して鳴かない。ウッドフェンスの上からじっとダイニングルーム側のガラス戸を見つめている。私が彼を見つけるまで、一声もあげない。

 きのうの朝などは、向かいの家の庭から我が家の方へ歩道を無言で小刻みに移動しながら頭上をキョロキョロさぐっている。他のカラスに発見され襲撃されるんじゃないか、ビクビクしている。身障者のため健常者から襲撃されたらまったく無抵抗で、見るも無惨な状態だった。二羽三羽で迫害するカラスから必死になってカアカアを救援する、いく度か私はそんな悪夢を経験していた。言うまでもなく、健常者もご飯が欲しいのだった。その気持ちが痛いほどわかった。救援しながら、私は切なくなった。

 きょう、明るいニュースもあった。……辺りを警戒してソワソワしながら食事をして、あわてて少し食べ残したカアカアのご飯を、スズメが食べに来た。カアカアだけじゃなかった。スズメもやはりご飯を食べたかったんだ!

 

 見よ ご飯は

 すべての命を支えていた

 断じて 軽んじてはならない