芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「現代詩神戸」277号を読む。

 永井ますみさんから詩誌を送っていただいた。

 

 「現代詩神戸」277号 編集・校正 永井ますみ・田中信爾・今猿人 2022年6月10日発行

 

 この詩誌は、十九人の同人が発表した三十篇の詩と一篇の小説で構成されている。

 ひととおり読ませていただいて、様々な作品でバライティーにあふれている、そんな感想を持った。とりわけ私の心に迫ったのは、西川好子の「桜吹雪」という作品だった。

 私自身の個人的な思い入れ、感情移入に過ぎないけれど、この作品を読んで千鳥ヶ淵の桜を思い出していた。また、いつも花見を共にした親友ともう二度と桜を楽しむことが出来なくなったわけを書いた最後の三行、作者が書いたこの三行が印象深く私の心に残された。

 

 三年後予感は当たった

 膵臓がんであっという間に遠いところに行ってしまった

 もう一緒に花見をする人はいない

 

 まったく個人的な事情だが、私のワイフも八年前、膵臓がんであっという間にこの世を去った。ワイフの故郷は東京で、二十代の頃、桜の花びらが舞う千鳥ヶ淵で、ボートに乗って遊んだ。「桜吹雪」という作品を再読・三読していた。