芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カメさん、庭をお散歩!

 お昼過ぎ、カメさんの池の水替えをした。今年初めての水替え。

 池といっても、プラスチックで出来た小さな人工の池。以前飼っていた熱帯魚の水槽の底砂を池に敷いて、レンガを積んだ小さな島。この島の上で、カメさんはのんびりお昼寝。

 先に言った通り、カメさんが冬眠から覚めた三月二十五日以来きょうが初めての水替え。まだ暑くならないので、毎年この時期は十日前後で水替えをしている。

 暑くなってくると、一週間くらいで水替えをする。ニンゲンにとって、いや、少なくとも私にとって一番大切なのは、衣・食・住、だった。これが満たされれば、そこから先は自分なりの生活がやって来る。カメさんの場合、まず、食・住、だ。衣は甲羅があり、水替えの時、洗ってキレイにするだけでいい。

 ところで、暑くなってくると水替えの頻度をあげる。水が汚れやすくなるため。さらに、カメさんの食欲が増えると同時に、汚物の量も増えて住環境が悪化する。それに加えて、ボウフラが発生。彼等は一週間から二週間で成虫、つまり、カに変化、ニンゲンを襲撃する。鈍感な私は我慢できるが、近所迷惑。だから少なくとも一週間に一回は水替えをしなければならない。

 カメさんは冬眠から目覚めた時より動きがよくなって、我が家の庭を散歩した、まだまだノロノロ歩きだが。彼は春に生まれたのでゼロ歳児の時に春を経験している。現在三十三歳。三十四回目の春が始まった。