芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カアカア、愛!

 どうやら私は勘違いしていたようだ。今までカアカアはトテモ弱虫でまわりのカラスたちから、ちょっとおおげさな言葉を弄すれば、「迫害」されているものとばかり思っていた。

 けさもカアカアは二度やって来た、五時過ぎと七時過ぎに。そして朝食も二度食べた。私はハシブトガラスの特徴のひとつではないかと思うが、例のごとく大きな口中にご飯をいっぱい詰め込んでいた。

 朝方雨がパラついた曇天の下、わが家のウッドフェンスの縁で少しくつろいだ後、そこから放物線状に三軒先の屋根に向かって灰色の空中を舞い上がった。

 屋根の上ではこの辺りに住んでいる別のもう一羽のハシブトガラスが待っていた。そのカラスはおねだりするような甘え声でカアカアにすり寄っていた。カアカアは彼女に口うつしでご飯をあげた。