芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

芦屋ビーチクラブ その74

 きょうは日曜日。言うまでもなく芦屋ビーチクラブの日。  でも、いつもと少し違うことがあった。海の日のイベント。みんなブルーサンタのコスチュームで芦屋浜に登場。もちろん、私も。  また、海の日にちなんで、私の母校、兵庫県

亀と百日紅、そして十一年目の命日。

 昨夜は二軒のスナックを回ったが、十時半には帰宅した。翌日、もちろんきょうのことだが、えっちゃんの十一年目の命日だった。  だが、しかし、命日といっても、何か特別の法事をするわけではない。十一年間、土に還らずダイニングル

今夜

どこまでも続く道 この歳になって そんな道があるのが わかった   この道を歩いて あなたは帰ってきた 今夜

命日まで、あと三日。

<Ⅰ> ひとりで ぼうぼうとした場所をさまよっていた   ぼうぼうとした場所? いったいここはどこなんだろう   <Ⅱ> ええ⤴⤴ どこ??   耳が聞こえにくくなっている かろうじて日本語

これぐらいで よそう

身勝手な男 身勝手な女が 出会って 結局 別れた   あるいは   身勝手な男と 愛の深い女が 出会って 結局 別れた   あるいは   愛の深い男と 身勝手な女が 出会って 結局

芦屋ビーチクラブ その73

 汗だくだった。おそらく朝から真夏日だったのだろう。浜の雑草を抜きながら、昨夜から今朝までのあれこれを思いめぐらしていた。  夕方、友人二人を交えて寿司屋で食事をした、もちろん酒を飲みながら。思えば六月の末辺りからこの二

ダメ 絶対 ダメ

とんちゃん この世の女の中に わたしをいれちゃ ダメよ 絶対 ダメ   わたしのいない愛を どうぞ探して   まだ あの世があるから 

亀と逃亡者

 今週は何かと夜遊びの機会が多かったけれど、昨夜は一人でスナックを二軒歩いた。疲れていたせいか、何時に帰宅したのか記憶にない。おそらく十二時前だったのでは。  ぐっすり眠った。朝、七時半。家事を始めた。庭掃除を終え、スズ

愛情を知らない女

 そんなバカな話が、誰しもそう思うかもしれない。だがこれが事実なのだ。かいつまんで話しておこう。リカの不条理な生い立ち。信じられない母親のもとで。   ―あのね、わたしね、四人姉妹の長女だったけど、あとの妹たち

もう汁はイヤ

―ヤミオ。あたしたち、もう一度ニンゲンにもどることって、できると思う? 今のあたしの最大の関心事よ。ニンゲンって、もうニンゲンでもないのに、またニンゲンになるなんて、そんなこと、できる?…… ―確かに今じゃ、リカは緑汁、

詩誌「タルタ」66号を読む。

 先田督裕さんから詩誌が送られてきた。    「タルタ」66号 編集/井上和之・田中裕子 発行/タルタの会 2025年7月1日発行    この詩誌は、九人の詩人が十六篇の作品を発表し、一篇の詩集評で構

ウナギ

―あした、楽しみにしています。 きょうは、お昼、息子たちとウナギ。 精力つけて、あしたにのぞみます。 ―あらまあ。まだ7月6日の日曜日。 土用の丑の日、先取りするのね。 ―近々リカちゃんも行かない? ―ヤミちゃんもたまに

芦屋ビーチクラブ その72

 七月最初の日曜日。家事を終え、スズメたちカラスたちに食事を用意して、朝八時前に芦屋浜へ向かった。庭掃除をするだけでもう芦屋ビーチクラブの制服、水色のT シャツは汗に濡れていた。  きょうも浜の雑草を一時間、抜き続けた。

亀とイタリア料理店

 昨夜は久しぶりに一人でスナックを二軒回ったが、十一時前には帰宅していた。それというのも、きょうの正午、近所のヨットハーバーにあるイタリア料理店マレロッソに二人の友達と昼食の約束があったから。言うまでもなく、その前に、土

夢と歳月

夢は 夢に過ぎないと ずっと思っていた   この歳になって そうじゃないと やっと気づいた   あなたと暮らした 歳月

落山泰彦の「胡蝶の夢 鵲の夢」を読む。

 「胡蝶の夢 鵲の夢」 落山泰彦著 発行人/落山泰彦 編集人/伊奈忠彦 2025年6月30日発行    一気に読んでしまった。おもしろい本だった。この本は自伝とか自分史の分野になるのだろうが、そうとは言い切って

濃緑液汁

 ごめんなさい わたしは過去を  語りたくありません 語るたび  癒えて くっついたばかりの傷口から  また 血がしたたり落ちてきます  ください ホラ これを ごらんになってください  ください ねえ ヤミオ もうこれ

初恋

でもね あたし そうじゃなかったの 家がイヤで 早く出たくって 結婚した それしかなかった あたしが 家から自由になるためには わかってください あの男と結婚するしかなかった 十年前に亡くなったあの男  あたし もう七十

だったら おやすみ

 指を見つめていた、親指から小指まで、両手の。さらに、足指まで、両足の。どうしてこんなにたくさん指ってあるのかしら。リカはふとそんな思いにふけってしまった。たそがれ。畳を夕日が染めていた。足を見つめていた目をふともたげる

亀、白いキキョウが咲き初めた。

 昨夜は芦屋の岩園にある小料理屋に四人で落ち合って、そのあとに訪れたスナックで二人の新しい友達が出来、そのまま六人連れで次のスナックへ繰り出した。そのうえ、ここでもまた一人、新しい友達が。  かくして帰宅したのは、きょう

ほんとのリカ

「ヤミオ。たまには、お食事、どう?」  久しぶりにリカからラインが来た。  闇男はいつものセカンドバッグを手に、玄関を出た。    皿が出ていた。テーブルの上だろうか。置かれている場所があいまいだった。ボンヤリ

悪魔の教室

 昨夜、入学式がありました。厚化粧した五十代の女性が鞭を振り上げながら叫んでいました。紫色のルージュで化粧したくちびるをつるっと突き出して。  ここに入学すれば、一生卒業できません。生涯学習。そのかわり、紅、紫、緑、漆黒

詩誌「現代詩神戸」289号を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。    「現代詩神戸」289号 編集/今猿人・神仙寺妙・永井ますみ 2025年6月10日発行    十八人の詩人が二十二篇の詩、エッセイが三篇、編集者三名の書い

芦屋ビーチクラブ その71

 先週の日曜日の朝、芦屋ビーチクラブで清掃活動をしながら、「今日から梅雨明けだな」、そんな感慨を抱きながら雑草を抜き続けていた。  ところがどうだろう。一週間後の本日、日曜日の朝。私は雑草を抜きながらこんな感慨にふけるの

亀、我が家へ帰る。

 この二週間、ほとんど夜の飲み歩きはしていない。夜遊んだのは二回だけ。後は自宅謹慎。多少の酒を飲みながら。  四十七年間続けている仕事と芦屋芸術関連や別冊關學文藝第七十一号に寄稿する作品作りなど、多忙だった。別冊關學文藝

後藤光治個人詩誌「アビラ」22号を読む。

 後藤光治さんからこんな詩誌が送られてきた。    「アビラ22号」(抒情詩篇) 後藤光治著 文彩堂出版 2025年6月10日発行    今号の「アビラ」は従来と様子が違った。著者のこれまでに発表した

噓じゃない

追いつめないで そんなこと言って あたし ちょっとしたこと しただけよ だから イヤ そんな目をして 追いつめないで そうよ そうして 欲しいの もっと お願いしとく もう しないから けっして 金輪際 ね けっしてよ 

詩誌「詩人の輪通信60」を読む。

 こんな詩誌を読んだ。    「詩人の輪通信60」 九条の会詩人の輪事務局・編集部 2025年6月1日発行    歴史や社会の在り方に批判的なまなざし向けて綴られた言葉を中心に構成された詩誌だった。批

詩誌「カルバート11号」を読む。

 山中従子さんから詩誌が送られてきた。    「カルバート11号」 発行/編集 樋口武二 2025年6月3日発行    私は基本的には送っていただいた本は最初から最後まで読む癖がある。悪癖かもしれない

新生活

 確かにくすぶっていた。何がくすぶっているのかと問われても、闇男にはもう返答するすべもなかった。既にすべてがそぎ落とされていた。これってもはや身体とは言えない。以前、熟知していると思っていたニンゲンではなかった。彼の記憶

「芦屋芸術二十三号」が出来ました!

 「芦屋芸術二十三号」が出来ました。発行日は7月1日です。かなり早く出来ました。これは私の性格。仕事であれ家事であれ、何でも次から次へとやってしまう、物事は出来るだけ早く片付けてしまう、昔からの性癖。それはさておき、本号

芦屋ビーチクラブ その70

 連日雨が降っていた。きょうは中止になるかどうか、ネットで天気予報を調べてみた。芦屋は朝の七時か八時あたりから雨があがり曇りになっている。念のため準備をした。準備といっても、制服のTシャツを着て、軍手をポケットに入れるだ

亀、そしてキキョウが

 昨夜も遅くまで飲み歩いた。帰宅したのはきょうの未明、午前二時半過ぎ。長い間眠っていた。九時半近くになってやっと目覚めた。それでもいつもの手順通り家事を始める。  朝食づくり、花瓶の水替え、庭掃除、カラス夫婦スズメたちに

いったい 何が言いたいの?

だから もうワインなんて飲まないでください いいえ 決して そんなこと そんなこと ありません   じゃあ だったら どうなの ちょっと いいわけがましいけど   わかって 欲しい だって これを見て

詩誌「リヴィエール200・記念号」を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。    「リヴィエール200・記念号」 発行所/正岡洋夫 2025年5月15日発行    今号は200号記念として同人だけではなく、これまでに関係してきた人々も

無色の空地

 もうたくさんだ。こんなはずではなかった。これまでも大切なものが消えていったが、インク壜でさえどこかに行ってしまったのだろう、机上から消えていた。やむを得ず彼はつけペンのペン先をしょうゆ皿のしょうゆにつけて、いま、この文

カルデロンの「驚異の魔術師」を読む。

 何故か戯曲が読みたくなった。こんな作品を選んだ。    「驚異の魔術師 ほか一篇」 カルデロン・デ・ラ・バルカ著 佐竹謙一訳 平凡社 1997年4月15日初版第1刷    著者は十七世紀スペインのバ

芦屋ビーチクラブ その69

 昨夜。土曜日。スナックで飲みながら、あす、どうしようか、自問自答していた。結局、早く帰宅した。十一時前に。  そしてきょう、日曜日。午前八時前。芦屋浜へ向かった。自問自答の末、これが私の答えだった。つまり、宿題の答えは

亀、そしてサツキの終わりが近づいた。

 木曜日は夜遅くまで友達と飲み、帰宅したのは午前二時半。それでも七時半ごろ起きて家事をこなし、出社。どうしてもやらなければならない仕事があったので。だから金曜日は夜遊びを自粛。ずっと続いていた体調不良が回復したばかりだか

まぶたの裏側では

ねえ そっとしておいて その手をおろして いまは ダメなの 別れ話ね そうじゃない 真顔になって あたし 見つめて いやよ そんなうまいこと言って   ねえねえ 聞いて あなたは まだ あたしのこと 好きだって

結末不明

 最近何かがおかしいと彼は思うようになっていた。特段その何かが、いったい何であるか、執拗に追及する意志などさらさらないのではあるが。だから、とりあえず、何か、だけつぶやいて、それ以上の中身は棚上げにしていた。  それでも