芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

月光と父親と

(首のない)子供たちが 黒光りする屋根瓦の先の 春の三日月を じっと見あげている   すると夜空の遥か彼方から 黄色い自動車に乗った三日月が ばりばり音をあげて 屋根瓦の上をずっと疾駆してくる   ぼ

星の家

月のひかりの降りそそぐ屋根の下 明るい窓の中から 子供の影絵が歌をうたってくる さっきまで台所の暗い水の底で こつこつまな板を叩いていた手を止めて どうやらおかあさんは六月の夜にふさわしく しんと聴きほれていたらしい 子