芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

その女

 午前四時。いつのまにか夏が来ていた。窓外で一匹の蛾のようなものがあばれていた。 「息が止まっています」 「アア、ソウデスカ」  死体を前にした、看護師と彼の最後の会話だった  その女が残したものに、三本の百日紅がある。