芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

オリオン

 おそらく午前四時半頃だろう、十月に入って、朝刊を取りにいくため、玄関を出て門扉の郵便受けまでのあいだ、まだ夜明け前の上天にオリオンが輝いている。  もう六十年余り昔の話だが、戦後まもなく荒地に建てられたバラックに近い我