きょう お昼過ぎ 六甲山を背に 芦屋浜を歩いて 海と その上に浮かぶ 雲を見ていた 四十三年間 愛しあって 別れた *写真は、二月二十三
作者別: Toru Yamashita
「芦屋芸術」十四号を出版します!
去年の四月十九日に「芦屋芸術」十三号を出したきり、それ以降、もう「芦屋芸術」は廃刊にしよう、そう考えた時期も、私にはあった。だが、アレコレ逡巡した結果、やはりトテモ業が深いのだろう、もう一度、やることにした。 今年の
「幻想と怪奇」第五巻から「表現主義時代の幻想」を読む。
表現主義、そんな言葉を耳にすれば、いったいどんな作家の名前が脳裏に浮かぶだろうか? 例えば、カンディンスキーか? カフカか? トラークルか? シェーンベルクか? 一九一〇年代から二〇年代半ば辺りにドイツ周辺で閃光を放っ
七年の後に その38
七年前 えっちゃんは 骨と煙になった いずれ 私も 骨と煙 生きてるうちが 花だった *写真は、二月二十二日お昼前、我が家の庭に毎日遊びに来るカラス。私を見つめてい
鈴木大拙の「神秘主義」
精神医学に従事していたミンコフスキーの「精神分裂病」を読んだとき、これは確か去年の九月の話だが、ベルグソンの思想に強く影響されている主旨が述べられていた。彼はベルグソンの前期の思想に影響されたのだろうが、私は後期の作品
七年の後に その37
えっちゃんといっしょに暮らした 四十三年間 とても楽しくてしかたなかった それ以上でも 以下でもなかった えっちゃんを喪ってから 七年間 ものすごくしんどかった そ
ひったり
深夜 花と たましいが 遊んでいた ひったり していた
七年の後に その36
花は ずいぶん昔から きっとたましいに寄りそってきたに違いない 私はふとそう思った *写真は、二月十六日午前七時頃、五年余り前に永眠した愛犬ジャックの骨壺を彩る花を、スマホで私が
七年の後に その35
かつて肩をならべて歩いた小道を きょうもひとりで歩いていた 悲しみの涯に 喜びがあふれていた *写真は、二月十五日お昼頃、芦屋総合運動公園の西端の小道を、スマホで私が撮った。
「パスカル小品集」を読む。
この本を開いたのは、先月、ラファイエット夫人の「クレーブの奥方」を読み十七世紀フランス作家の文章をもう少し読んでおこうと思った、それに加えて、去年の九月にベルグソンの「道徳と宗教の二源泉」の中で神秘主義についての積極的
七年の後に その34
七年余り 花に助けられてきたのが わかった けさ 水替えしながら きれいなあ そうつぶやいていた *写真は、二月十三日午前七時過ぎ、台所の流し台で水替えしている花を、スマホで私が
七年の後に その33
愛する人と死別した人は ともに歩いた道を 何度も歩くだろう 昼も 夕も 何度も 狂った眼と足で まぼろしが 笑みを落とす道を *写真は、二月十二日お昼頃、潮芦屋緑地の松に覆われた小道を、スマホで私が撮った。
七年の後に その32
同じところから出て来て 雲になったり ボクになったり えっちゃんになったり 宇宙はトテモにぎやかだった *写真は、二月十一日お昼頃、芦屋総合運動公園の樹木に囲まれた遊歩道から雲を
七年の後に その31
北から 南へ 雲が動いていた 冷たくもない 優しくもない 雲が *写真は、二月十一日午前七時過ぎ、我が家の庭から雲を、スマホで私が撮った。
七年の後に その30
雲を見ていると 心が軽くなって 浮かんでいた *写真は、二月十日午後五時半頃、我が家の裏の歩道から、夕日が落ちた空と雲を、スマホで私が撮った。
ベックフォードの「ヴァテック」
私が二十五歳の頃に「幻想と怪奇」という文芸誌が出版されていた。この文芸誌は、創刊号が一九七三年四月一日に三崎書房から出版され、第二巻以降最終刊の第十二号までは歳月社から出版された。この最終刊は一九七四年十月一日に発行さ
七年の後に その29
毎日 雲を見ている *写真は、二月八日午前九時半頃、きのうと同じく、出勤前、我が家の裏の歩道から雲を、スマホで私が撮った。
七年の後に その28
出会いは別れを約束する *写真は、二月七日午前九時半頃、我が家の裏の歩道から雲を、スマホで私が撮った。
かゾットの「猫の足」
先日読んだカゾットの「悪魔の恋」は、「幻想と怪奇」という雑誌の創刊号と第二号に連載されたものだが、同じ著者の別の作品が「幻想と怪奇」第三号と第四号に連載されているのでご紹介しておこう。 「猫の足」 カゾ
かゾットの「悪魔の恋」
十八世紀のフランス文学を読み進んでいて、先日、レチフの「パリの夜」を読み終えた時、フランス革命のさなか、ギロチンで死刑になった作家を思い出した。早速、私はこの作家の作品を読んだ。 「悪魔の恋」 カゾット
七年の後に その27
雲は えっちゃんではない 雲は 雲でもない ボクがたまたま日本語で 君を雲と呼んでみただけ *写真は、二月三日お昼頃、芦屋浜から雲を、スマホで私が撮った。
七年の後に その26
きょうもお昼頃 公園で一人で立っていた えっちゃん楽しかったな そう呟いていた 時間が解決するよと友達は慰めてくれた でも 愛に関して言えば 時間は解決しなかった もう七年は過ぎてしまったけれど
七年の後に その25
雲には感情はない 悲しみもない *写真は、二月一日のお昼頃、芦屋浜の堤防を西から東に向かって、スマホで私が撮った。
レチフの「パリの夜」
今年の年初、一月に読んだ本の中で、アベ・プレヴォの「マノン・レスコー」は一七三一年、ラクロの「危険な関係」は一七八二年に発表されている。ならば、この一月の終わりを飾るには、この本がもっともふさわしいであろう。 &nbs
潮芦屋緑地にカラムクドリが来た!
最近、我が家に近い公園におおぜいのカメラマンがやって来る。今朝も九時頃散歩していると、やはりたくさんのカメラマンで賑わっている。私はハンチングを被った年配のカメラマンに聞いた。 「ちょっとお伺いしますけれど、最近カメラ
七年の後に その24
冬だというのに 頭の中で また 蝉が鳴いている 二〇一四年七月十九日の夜明け 妻悦子が緩和ケア病棟で永眠して お昼頃 棺で我が家へ帰った日、 庭の木で いやに騒がしく 蝉が合唱していた。 &nb
七年の後に その23
まだ 心の中に 亡妻えっちゃんが住んでいる ぐずぐずして いつまでたっても あの世に 引っ越そうとはしない 毎日 笑顔で 見つめてくる あるいは ボクの心の座敷牢が 彼女を閉じ込めたまま イヤがるのを 無理矢理 監禁して
ケッセルの「昼顔」
先日読んだラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」は一九二四年に、今回読んだこの本は一九二九年に発表されていて、両書とも、その当時ベストセラーだった。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間にフランスで咲いた、愛欲を主題にしたアヤ
七年の後に その22
今年は雪が多いのか。六甲山でさえ三度目の雪を被っている。中でも、今朝見る雪がもっとも華やかな風情だった。といって、雪国からすれば、すべてあどけない少女の薄化粧に過ぎないけれど。 こんな他愛ない思いを脳裏に描いて、六甲
七年の後に その21
昨夜、雪が降ったらしい。私が起床した午前三時頃には既に止んでいたが、ガラス戸を覗くと、部屋から漏れる明かりや街灯や門灯に浮かんで、我が家のウッドデッキや門前を走るアスファルトの路面やらあちらこちらウッスラ雪に覆われてい
七年の後に その20
自分なりにわかるのだと思う そして 自分なりに生きるのだと思う
七年の後に その19
今年 はじめての いさよいの月を見ようと また 芦屋浜まで わたしは歩いていた こまかいミゾレのような雨は 七時前にはあがって 雲が切れ そこから星が出た 二〇二二年一月十九日 きょうはえっちゃんの月命日
七年の後に その18
睦月の満月を背に 暮れ落ちた 芦屋浜へ きょうもまた わたしは出た ひとつの月に ひとつの人影
七年の後に その17
一月の 待宵の月 もう一度 君が好きだと言いたい
ラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」
やはり今年は年初から恋愛心理小説を読み続けてしまった。 「ドルジェル伯の舞踏会」 ラディゲ作 江口清訳 「世界文学全集」Ⅱ―4 河出書房新社 昭和39年7月10日初版 先日読んだラファイ
アベ・プレヴォの「マノン・レスコー」
今年は年初から、「危険な関係」、「クレーブの奥方」に続いて、私はさらに恋愛心理小説の名作を読み進んでいたのだった。 「マノン・レスコー」 アベ・プレヴォ作 杉捷夫訳 「世界文学全集」Ⅱ-4所収 河出書房
七年の後に その16
お昼と 夕方と 毎日二回 芦屋浜で 海を見ている
七年の後に その15
脳は 妄想の溜り場 えっちゃんが生きている!
七年の後に その14
えっちゃんは ひとりしかいない
七年の後に その13
こころは いくつもあるわけではない ここに ひとつあるだけだ
後藤光治個人詩誌「アビラ」8号を読む。
後藤光治さんから個人詩誌が送られてきた。 後藤光治個人詩誌「アビラ」8号 2021年12月1日発行 巻頭にはいつものように「ロラン語録」を掲げ、詩作品六篇、「ロマン・ロラン断章」、「清水
「現代詩神戸」275号
永井ますみさんから送っていただいた詩誌を読んだ。 「現代詩神戸」275号 編集 三宅武・永井ますみ・田中信爾 2021年12月10日発行 十九人の詩人が作品を発表している。環境問題を扱っ
詩誌「布」三十八号を読む。
先田督裕さんから詩誌を送っていただいた。 どこか「おかしみ」が感じられる詩が多々あった。特に男性群の詩はその傾向がいちじるしく、ほとんど「滑稽」と言えるのだった。 「布」三十八号 2021年9月20日
詩誌「リヴィエール」179号を読む。
永井ますみさんから送られてきた詩誌を読んだ。 「リヴィエール」179号 発行所 正岡洋夫 2021年11月15日発行 十八人の詩人の詩十九篇、七人の詩人のエッセイ七篇で構成されている。
七年の後に その12
きょうも また 芦屋浜に 出た えっちゃんも ジャックも アニーも もういない 確かに もういないけれど 私は スマホで 海を 撮っていた
ラファイエット夫人の「クレーヴの奥方」
数日前にラクロの「危険な関係」を読み、そうだ、恋愛心理小説の作品をもう少し読んでおこうと思い、この本を選んだ。 「クレーヴの奥方」 ラファイエット夫人作 生島遼一訳 世界文学全集Ⅱ―4所収 河出書房新社
七年の後に その11
雲が切れて 海がキラキラしてる
ラクロの「危険な関係」
新年が来た。私の年頭の読書体験は、これだ。 「危険な関係」上巻 新潮文庫 平成元年九月二十日十刷 同上 下巻 新潮文庫 平成元年九月二十日七刷 (ラクロ著 新庄嘉章、窪田般彌訳) &nb
七年の後に その10
あの頃は 海よりも ジャックや えっちゃんを見ていた 今は 海を見つめている
七年の後に その9
「雪だ」 「久シブリネ」