芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

変身と水浸し

 三十キロくらい入った米袋のような焦げ茶色の物体がガサガサ動き回っている。ひとりでコロコロ転げ回ったり、床から一メートルくらいピョンピョン飛び跳ねながら前後左右見境なく移動したりしている。これは一体何だ。つい声をあげて難詰してしまった。オイ! オマエ‼

 するとこちらを向いて、ウーとうなり出した。不気味な奴。

 怖くなって、ホースで水をぶっかけてやると、青くなったり、紫になったり、緑になったりして、縮んでいく。一分足らずで五センチ大の赤黒い楕円形物質に変形しながら食器棚の裏側へ逃げ込んだ。正体はゴキブリじゃないか。

 気が付くと、家じゅう水浸しだった。