芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

体内回帰説

 すべては体内へ復帰する

 

こんな一行が頭に閃いた

わたしはこの歳になって

もう冗談なんて言うつもりなどさらさらない

晩年はとても生真面目に生きていたい

ところで

さらに閃光が頭の中を駆け抜け

二行の言葉の足跡を残して走り去った

 

 見よ 新しい哲学が生まれた

 ものみな体内へ回帰する

 

このあとはなかった

何も具体的な世界は見えなかった

いまさら言うまでもない

すべての新しい哲学と同様

この哲学も問題提起だけで終わった

思えば 本来 人間の頭って

その程度のものだった

 

けれど 今夜も ちょっとした思想をサカナにして

楽しい酒を飲む時間が出来た