芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

午前三時三十七分だった。

 いつの間にか眠っていた。夜中に激しい雷が連続して、雨の音の中で目覚めた。

 もう細部は忘れてしまったが、さまざまな映像や歌が流れていて、このまま朝まで起きているのだろう、ベッドの上で何度も反転を繰り返しながらそう思ったりしていた。だが、いつしか眠っていたのが、あの人の顔が画面いっぱい浮かんだ時、ドカン、近くで雷が落ち、目覚めているのだった。眠っていたのは一時間か、二時間くらいか、それとも数分なのか、わからなかった。しばらく天井を見つめていると、雷は消えた。雨の音は止んだ。眼前は静かな闇だった。その闇の中で、まだあの人の顔は笑みを零していた。ベッドから立ちあがり、そばの勉強机の上の電気スタンドのスイッチを押し、私はノートに走り書きをした。頭の中で私の名前をささやいている吐息がした。あの人の笑みがまだ脳天に鮮やかに浮かんでいた。午前三時三十七分。この文章を書き終えて、私の十一月七日が始まっていた。