芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

それは冬ではなかった

 何が濁っているのだろうか? 皆目見当がつかなかった。頭が濁っているのか?

 

 決して冬のせいとは言わない。冬ならば、澄むのではないか。寒冷ならば、ものみな枯れるのではないか。そこでは夏の一切は消えてゆく。むしろ無の景色に近づくのではないか。ごらん。あたりは澄みきっているではないか。

 

 そうじゃないだろうか。断じて頭ではない。あるいはまた、冬でもなかった。そこが濁っているのではなかった。西の方で、煙突から煙があがっていた。