芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

南かもしれない

こちらが西だとあなたはいうけれど

太陽も星もない

なんの目印もない

灰色の草でぼうぼうと覆われた荒れ地に立ってみれば

おのずから笑みを落として

わたしはあの方角を指さしたまま こう語った

 

あなたは西だというが

ひょっとしたら南かもしれない