芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

四つの断章から

 第一章から 遺書

 

洟をかむと

花紙の真ん中に

鼻が残されていた

 

 

 

 第二章から 境

 

狐の嫁入りの 境を行けば

右半身は 雨に濡れ

左半身は 乾いている

 

 

 第三章から 黒い長靴

 

笠をかぶった

塩が立っている

両足は 黒い長靴をはいていた

 

 

 第四章から 遠隔操作

 

月夜 壁に向かって端座していると

壁紙に映った人影が

粥を食べていた