芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

恋心

もうすぐそこまで来てるくせに

もうすぐやって来そうでやってこない

窓かけの後ろにためらっている

美しい福音のように誤解されがちな恋文を伝えてくるあなた

わたしは ひねもす

あなたの門の前を行ったり来たり行ったり来たりしてるのでしょうか

そこには小さな階段があり

地上から階段を三センチメートルほど降りたところ

秘密の 小さな部屋があり

小さな部屋には小さな椅子がある

小さな椅子にはさらに小さな闇があり

小さな闇の中では

あなたの面影をいつも耐え忍んでいる

いとしみ なつかしみ いまも耐え忍んでいる 小さな恋心がいる