芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

亀、アメジストセージとサルビア・アズレアの下を歩く。

 

 朝七時過ぎから池の掃除を始めた。空は晴れているが、少し肌寒いくらい。池から亀を出して私の右足のそばに置いたが、彼は余り動こうとしない。ようやく動き出しても、三十センチくらい離れただけで、円弧を描いて私の足元の方へもどって来る。やはり、冬めいてきて動きが鈍くなってきたのだろう。これがハチュウ類の習性だろうか。池の掃除が終わったころになって、やっと少し動きがよくなってきた。

 池のすぐ北側、ウッドデッキをコの字型に囲んだ花壇に咲いた紫色のアメジストセージと水色のサルビア・アズレア、これは八年前に亡くなった妻の形見の秋の花だが、亀はその下を歩いていた。

 

 

<付記>私は花の名前を知らない。この花をラベンダーとばかり思っていた。しかし、「芦屋芸術」のブログで花の写真を見た清位裕美から、彼女は「芦屋芸術十五号」で水墨画を描いているのだが、さすが花にも詳しいのだろう、「紫色のお花がアメジストセージで水色のお花がサルビア・アズレア」、そんなメールがやって来た。そこで日録の題、「亀、アメジストセージとサルビア・アズレアの下を歩く。」、この一行が私の脳裏に浮かんだのだった。

 よって、この作品は、清位裕美と私の共作だと言っていい。