芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「続・最後の場所」11号を読む。

 松岡祥男さんからこんな雑誌が送られてきた。

 

 「続・最後の場所」11号 発行人 菅原則生 2022年7月20日

 

 すべてが力作で、直接読んでいただいて、それぞれ自分で考える、そんな作品集だろう。

 私の場合、特に井谷泰彦の「南島村内法に関する一考察①」は「沖縄」について教えられるところ多々あった。もちろん、言うまでもなく、この論文は「沖縄」の観光名所・名物を案内するのではない。

 おそらく「沖縄」はいまでも日本の国家権力が集中管理出来ていない国内唯一の地域ではないかと思うが、その前史をさまざまな資料を駆使して帰納的に明るみへ出そうとしている。私は驚きを禁じ得ない。

 この論文にも指摘されている通り、「沖縄」前史の共同社会が、互いの命を尊重しあって、人々は愛しあい助け合って生活していた村落ではない、そんな理想郷ではなかった、著者はその事実を強く指摘している。しかし、この共同社会には、ひょっとして私有財産制度の確立と身分制度の廃止を基軸にした労働力が商品になる社会=資本主義社会に屹立する人間性が存在しているのかもしれない。井谷泰彦はやがてその片鱗を明るみに出すのではないのだろうか。