芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

亀とカラス

 けさ七時ごろ、池の掃除をした。真夏日のように暑かった九月が過ぎて、十月に入って急に冷え込み、晩秋を飛び越えていきなり初冬になってしまった、そんな季節感がした。

 気温が下がって水が冷たくなったせいか、亀は余りご飯を食べない。ガツガツしない。また、水温が低く彼の排泄物も減ったため、池の水の汚れも目立たなくなり、寒くてボウフラも何処かへ旅に出たのだろう、その影もなかった。だから、夏場、一週間に一度くらい池の掃除をしていたが、十月から十日に一度やることにスケジュールを変えた。

 掃除が終わって亀と庭で遊んでいると、右羽を傷めた身障者のカラス、ニックネイム「カアカア」がウッドフェンスに立っていた。彼は毎日三度前後我が家を訪れてくれる。

「カアカア、イイヨ」

 庭の食卓にご飯を盛って、いつものコマンドを送ると、彼はウレシソウに飛び跳ねてクチバシで食卓をカツカツ叩きながら、無心に食べていた。

 その様子を下からずっと亀が見上げている。