芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

親水公園にて その23

あなたといっしょにいるのが

とても楽しくて

 

別れるなんて

心に浮かびもしなかった これっぽっちも!

 

そうなんだ 長い歳月 愛しあったので

もう 愛しあうことしか出来なかったんだ

 

八年前まで

そうだった

 

 

*写真は、今朝九時ごろの親水公園。

 十五年前後昔の話になるが、朝五時過ぎ、まだ薄暗い中、この公園で亡妻えっちゃん、亡犬ジャックと三人で遊んでいた。するとふいに、川向こうに駐車していた車の陰から若い警察官が飛び出してきた。小さな橋を渡り、東屋の横を通り抜け、一目散に私の前まで走ってきて、手帳を取り出した。

「芦屋はノーリードが禁止されています。ご存じですね」

 確かに、この数か月前に芦屋市の市条例が改正されて、犬の放し飼いは罰金十万円以下、そうなったと耳にしていた。

「住所は」

「私はすぐそこの海洋町三番五号、山下徹です」

「まわりに迷惑になるので、ノーリードはやめてください」

「まわりに誰もいません。ワイフとジャックと私だけですが……なぜこんなに朝早くから待機していたんですか」

「ご近所から苦情が出ています。私も犬は好きですが……」

 実直そうなまなざしで、好感の持てる警察官だった。