芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「カード・カレッジ」第1巻を終えて

去年の5月頃だったか、中学三年生から高校二年生くらいまで一緒にロックバンドをやっていた友人<UT>と四十数年ぶりで出会い、もう一度バンドを再結成するか、というわけで、もうとっくの昔にゴミ箱に捨ててしまったので、7月になって、ボクは新しいギターとアンプを買った。毎日2時間くらい練習している。やっと「朝日のあたる家」、「バンブル・ビー・ツイスト」、「十番街の殺人」、「キャラヴァン」など18曲までリードギターで弾けるようになった。今年の10月までには30曲は仕上げてデビューしたい、昔のようなダンスパーティー形式でやろうや、阪神芦屋駅前の某イタリア料理レストランで白ワインを飲みながら<UT>と熱っぽく語りあっている。ちなみに<UT>はピアノと打楽器。

生きているって、細部にじっと目を凝らせば、とても不思議なめぐりあわせの経験だとボクには思えなくもありません。昔やってたマジックも、去年の暮れ、ご近所の忘年会の最中、酔っ払って、テーブルまわりに置いてあったティッシュペーパーやら割箸やら、ボクはタバコをやめてしまったが、眼前で吸ってるお友達のタバコなどを拝借してマジックをやってしまった。それが思いのほかウケテしまったので、だから、もう一度マジックを。

「カード・カレッジ」第1巻(ロベルド・ジョビー著、東京堂出版)

とりあえず、リハビリでこの本から始めた。ボクは若い頃カードマジックを極めようと一心にやっていたので、ここから再出発した。この第1巻でも、少し専門的になってしまうが、「スプレッド・カル」などの高等技法のレッスンもあり、この技法が出来ればカードマジックの上級者だと言っていい。カードマジックの勉強をしたい方には、なかなかいいテキストだ。けれどまったくの初心者なら、数頁で挫折するに違いないが。

明日から「カード・カレッジ」第2巻をやっていきます。いまのところ、とても忙しくて1日に1時間練習するのが精一杯ですが。

その昔、夢中になったマジックとエレキギターをこんな歳になって再開するなんて。死ぬのがイヤで、生きるため何十年もあくせく働いてきたけれど、結局好きだった場所に帰ってきて、歳をとるってちょっとステキなことじゃありませんか、この好きな場所に帰ってくるとはっきり見えてきました、もうすぐ死ぬんだな、そしてあくせくしたあの何十年もほとんど束の間の出来事だったなと。