芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「リヴィエール178号」を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。

 

 「リヴィエール 178号」 発行所 正岡洋夫 2021年9月15日発行

 

 この詩誌は十八人の詩人の詩、十九篇、その内の七人の詩人がエッセイを書いている。また、北口汀子の巻頭詩がある。この詩人にはこの号で二篇の超自然な短詩が発表されている。一篇は、「変容」という詩で、眠りが目覚めに移行する深淵で言葉へと変容する「私」を表現している。作者の詩の原点か。「象徴」という詩では、愛の激情のようなものを、稲光り、瞳、夜の裂け目、卵、眼球などの言葉で一枚のテーブルクロス風に織り上げていく。

 さまざまな詩が書かれていた。人それぞれなのだろう。詩はかくあるべきだ、そんな固定した概念などない。いろんな詩誌を読んでいると、いまさらに私はそう思ってしまう。ちょっとおおげさな物言いになってしまうが、せめて言葉だけでも、絶対自由・絶対平等の世界を表現しようと、多くの人の願いが詩に結晶しているのだろうか。

 市原礼子の「月と手紙」という作品では、手紙の返事がかけない気持を、まるで夢幻劇のような詩で、宛名は書かずにレターペーパーにしたためている。不思議な味わいがあった。夢幻劇の文中、「ちび丸」という猫が登場するが、同じ作者のエッセイ、「猫のいる風景 17」を参照して欲しい。