芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カアカアは、やっかい者!

 わが家の玄関先の一本道を西に向かって百歩程度で、葉をいっぱい茂らせたクスノキが一本立っている。五月になって見上げると、葉叢の中にカラスが巣を作っていた。この町が出来て十八年、やっとカラスも町になじんだのだろう。

 巣作りの最中、わが家の庭ボウキの先もクチバシでむしり取って、一直線にクスノキまで飛翔して、巣の材料にしていた。私は、カシコイナア、その作業を見つめて感心していたのだった。

 六月二十日に回ってきた回覧板にこう書いてあった。―海洋町北広場の木にカラスが巣を作ったと申し入れがあり、自治会が市役所と相談して、巣を撤去してもらいました。

 確かにクスノキの枝はバッサリ切り落とされて、スッカリ裸になってしまった。いったいカラスの巣はどうしたのだろう。子供はいたのだろうか? それとももう巣立っていたのだろうか? どうやら町内では、カアカアはまだまだ、やっかい者!