芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

おかたづけ

おかたづけが出来なくなったら、すでに死が迫っているのかも知れない。毎日、食器洗いはボクが担当しているが、今夜、東京マザーが自分の湯のみを洗い、イツモオセワニナッテスミマセン、ドッコイショ、食後のテーブルをふいてる。ヨイコラショ、ブツブツ、ドッコイショ、ツブツブ、おかたづけを始めたのだ……ツルツル ツブツブ ピカピカ ココヨ ネェ ネェ ホラ ネェ……

ボクにはマザーの背中から死のサタンが羽をひろげて遠ざかっていくのが見える。おかたづけは死とその腐敗まで綺麗にお掃除するのだろうか。
食事の際テーブルに零した飯粒やおかずが、マザーがふきんをかけるたび床に落下していくのだが、愛犬ジャックが上目遣いに見ている。

芦屋川 東京マザーのおかたづけ